シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019

2019.4/27(sat)
5/19(sun) 6/2(sun)

アーツ千代田3331

ABOUT EXHIBITION

未来を透視してきた巨匠の軌跡を辿る
一期一会の原画展
東京限定開催!

“ビジュアル・フューチャリスト”として、数多くのクリエイターや作品に影響を与えて来た世界的インダストリアルデザイナー、シド・ミードの活動歴のなかから150点を展示する原画展、『シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019』。

日本での個展は34年ぶり3回目、今世紀では初開催となります。

本展は、シド・ミードが所有する膨大なアーカイブから厳選された画稿のほか、日本独自のセレクションを加えた4つのパート【PROGRESSIONS】【The Movie Art】【TYO Special】【Memories Of The Future】で構成します。

2020年に向けて変容し続けている東京。世界でも類い稀な佇まいのこの都市において、映画『ブレードランナー』が描いた2019年である本年、さらに国内的には平成から新元号へと切り替わるまさに「時代の境い目」に開催となる本展は、テクノロジーがもたらすであろう明るく豊かな未来を創造してきたミード氏の未来ビジョンを振り返る機会であるとともに、東京の、ひいては世界の新しい未来を夢に描き、また、それをさまざまな形で実現していくヒントや希望を、観るものに与えてくれることでしょう。

(*)原画滅失のため複製で補助展示のパートあり。原画は約130点となります。
(*)この規模での企画展は東京限定開催となります。巡回予定はありません。

CONTENTS
展示内容

シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019 展示内容

『シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019』は、以下の4つのパートで構成され、150点の展示を予定しています。

  • (1)PROGRESSIONS
  • (2)The Movie Art Of Syd Mead
  • (3)TYO SPECIAL
  • (4)Memories Of The Future: Matsui Collection

*紹介順不同。実際の展示順とは関係ありません。またタイトル、展示内容は予告なく変更となる可能性があります。

■PROGRESSIONS

シド・ミード氏の膨大なアーカイブのなかから、60年にわたるキャリアの中から自薦したオリジナル作品50点、初期の水彩画から最新作までを一堂に展示する回顧展。2012年から全米各地を巡回中のパッケージ。ミード・デザインのヴィークル(自動車など)、建物、宇宙や、初期作品集「センチネル」や「オブラゴン」などのカバーアートを含む。アジア初公開

【見どころ】

PROGRESSIONSでは、個人的なオススメはペプルビーチの三連作。大変見応えがあります。ミードさんのご自宅のリビングの壁一面にも貼られており、その絵は物凄い迫力です。会場ではミードさんのアトリエに居るかのように工夫を凝らしみなさんに見て頂けたらと思っております。

― 植田益朗/本展プロデューサー

3才の頃から書き溜めた原画を、ほぼ全てアーカイブされているミード氏は原画を滅多なことから手放さないアーティスト。イラストが完成品だとしても原画は売らず、商品はあくまでアイデアだからです。その膨大なアーカイブの整理を一部お手伝いする機会に巡り合いましたが、スケッチだけでも何万枚もあると思われました。そのスケッチを結集した最終形態がこれらイラストレーションになっています。画業60年間、1年に対してたった1作品しか選ばなかったことから、このPROGRESSIONSというパッケージそのものが自信を持っての代表作であるのに間違いはないでしょう。「Car Styling Magazine」や「Rays Wheel」や国際スポーツフェアのキーアート「Running of six Drgxx」など日本に根ざしたプロジェクトが含まれているのは素晴らしい。

― 松井博司/本展キュレーター

■The Movie Art Of Syd Mead

ミード氏が初めて映画に関わった『スタートレック』(79年)、SF映画の金字塔『ブレードランナー』(82年)および同シリーズ最新作『ブレードランナー2049』(2017年)、『エイリアン2』(86年)などの多数の大作ハリウッド映画からデザイン・スケッチやイラストレーションを展示。加えて未制作映画から未発表の初期デザイン、プロモーション用アートを、世界初公開。

【見どころ】

映画の仕事といえば、やっぱり『ブレードランナー』は金字塔ではありますが、『2010年』の膨大なスケッチもミードさんの本領発揮の作品としてじっくりご覧いただきたいです。

― 植田益朗/本展プロデューサー

34年ぶりに日本でミード氏の原画展を開催するにあたり、PROGRESSIONSは長年の代表作品を集めたパッケージですが、The Movie Artは「ミードさんの映画界での活躍ぶりをファンに見せて欲しい」との希望をくませていただき、1979年の『スター・トレック』のヴィジャーや、NGデザインも含む「エイリアン2」の仕事、『M:i:III』の変身マスクのデザインスケッチまで、多種多様な映画作品での仕事をお見せします。勿論、今年=2019年は『ブレードランナー』の舞台となった年でもあり、スピナーや『ブレードランナー』の世界観構築を決定的にしたミード氏の仕事の数々もお見せします。予想外に小さな絵であること。原画をご覧になれば必ず驚かれると思います。

― 渡辺 繁/本展プロデューサー

製作年からもわかるように特筆すべきは『トロン』(82年)と『ブレードランナー』(82年)がほぼ同時期にデザインされている点でしょう。ほとばしる才能で言われるがままリドリー・スコット監督から請け負った結果、ハリウッドの聖域をいくつも網羅したため映画美術のギルドから訴えられた『ブレードランナー』のエピソードもある位、ずっと他に誰もいなかった存在だったと言えます。ほぼ監督からの直接のオファーが占めているこれらのデザインは“フューチャリスト”と自ら命名し、ワン&オンリーの存在となってからの、ある種のSFデザインの変遷とも言えます。ピーター・ハイアムズ監督(『2010年』)、ジェームズ・キャメロン監督(『エイリアン2』)、J・J・エイブラムス監督(『M:i:III』)、ニール・ブロムカンプ監督(『エリジウム』)など錚々たる巨匠からのラブコールに応えてきた軌跡が時系列で見られる機会は、ほかにはまずありません。発表された以降に影響を受けなかった映画を挙げる方が難しい“ブレラン呪縛”とも言える負荷からクリエイターたちが未だ逃れられていないと改めて気付く方もいるでしょう。モデルメーカーやセットデザイナー、マットペインターらが立体化し、監督と俳優陣がカメラマンたちと“ムービー”に昇華していくためのバイブルとなったそのアイデアを辿りながら、スケッチに残された人間味ある息遣いや精緻な筆圧を思い、存分に楽しんでいただきたいです。

― 松井博司/本展キュレーター

■TYO SPECIAL

数あるミード氏のデザイン活動のなかでも特に多い日本でのプロジェクトにフォーカス。アニメーションの二大キャラクターに挑んだ『YAMATO 2520』のCADによる設計図やイラストレーション、本年が20周年の『∀ガンダム』からはモビルスーツのデザインやポスターアートなどを展示するほか、HONDA、国際スポーツフェアなどの作品群を交えた、世界初公開を含む、多数の作品を展示。

【見どころ】

TYO SPECIALの目玉は何と言っても「∀ガンダム」のデザイン原画です。初代からガンダムを間近で見てきた身として、これほどまでに洗練されていて、かつ機能を生かす嘘のないデザイン、そしてバックビューがこんなにも綺麗なモビルスーツは後にも先にもありません。「∀ガンダム」放送から20周年、当時の思い出が蘇るとともに、再会に胸が踊ります。?また、私が所蔵する「∀ガンダム」の番組宣伝ポスターの下書き連作も本邦初公開です。お楽しみに!

― 植田益朗/本展プロデューサー

日本との企業の仕事をミード氏は数多くこなしています。実はPROGRESSIONSの展示作品の中にはそうした日本企業の関係作品が多く含まれているのですが、このTYOというコーナーでは「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」などのキャラクターをミード・デザインに翻案した「ヤマト2520」のカラーボードや「∀ガンダム」のモビルスーツのデザイン画などの原画や様々な企業とのコラボ作品も展示いたします。

― 渡辺 繁/本展プロデューサー

シド・ミードが手がけてきたプロジェクトの、およそ3割は日本のためのプロジェクトでしょう。PROGRESSIONSというパッケージの巡回展が日本にやってくることよりも、このスペシャルなパッケージが氏の愛した東京に併設されたことこそ、今この東京で開催する意義があるでしょう。しかも東京以外、世界中のどこにも巡回しません。∀ガンダムはバレリーナの動きの美しさに基づいてデザインされています。立体化されたプラモデルを手にとれば、MEAD GUNDAM(ミード・ガンダム)が、いかに動きを重視して設計されていたかが分かるでしょう。最初にそのデザイン性を評価したのがモデラーたちだったことから、その優秀さを理解するためには空間把握のリテラシーが必要なのです。最初に骨格から組み立てられたモビルスーツたちの正面は鎧に覆われ、背面のメカニズムがむき出しになっている、その裏コンセプトは「表裏一体」。左右対称に終始してきたかつてのモビルスーツたちに対抗し、修理やカスタマイズを長年繰り返した結果、あえてアンシンメトリー(左右非対称)になったターンXが最終結論となったのは、マシンにヒストリーを加味したシド・ミードにしか出せない答えだったのだと思います。またこの度、新たに発見された画稿や複製もありますが、ヤマト2520など世界初公開の作品も多くあります。3Dモデリングも試みられたクラリスCADによるその設計図面は、それまでいくつも手がけられてきた実際のクルーザーよりも遥かに多い情報量が描き込まれています。トータルで8年以上もの歳月が費やされたヤマトは、実は最も長かったプロジェクトでもあり、製作期間中に自ら「ライフワーク」とも言わしめた渾身の作品です。MEAD GUNDAMよりもデザインされた量は遥かに多いヤマトの、そのごく一部だけでも公開できることは二度とない貴重な機会でしょう。

― 松井博司/本展キュレーター

■Memories Of The Future: Matsui Collection

画集最新刊「シド・ミード ムービーアート」で翻訳監修を担当したシド・ミード研究家、コレクターである松井博司(まつい・ひろし)の秘蔵コレクションより、『Hot Wheels』のポスターデザインのほか、鉛筆による下絵、マーカーによるスケッチ、トレース画、完成画に至る制作過程を、原画で、世界初公開。

【見どころ】

初期のUSS時代のオリジナルポスターは、おそらく最初で最後の公開になるでしょう。?今回、前売り特典の『SYD MEAD 1969』ポストカードセットは、ミードファンの必携のアイテムです。こればかりは後悔のないように、是非ゲットして会場にお越しください!

― 植田益朗/本展プロデューサー

シド・ミード展でもない限り、ほぼ世に出る機会はないものということで、長年お付き合い頂いてきたミード氏のご恩に報いるため、この度、初めて展示に踏み切ったコレクションは原画で7点。目玉となるのは最初の画集「センチネル」にも掲載された「Jungle Crawler」。このマシンは湿地帯に墜落した航空機らしき残骸を調査するクルーが乗ってきた巨大なヘビです。キャタピラを備えつつも当時のお気に入りのテーマであったジャイロスコープを用いた列車のフォルムをしたメガマシンを描いています。これは氏が個人に寄贈した唯一のプライベート作品であり、クライスラー社に在籍していたあるカーデザイナーのために描かれたのですが、不思議な縁があってその所有者から私の手元にやってきました。しかも完成画だけでなく、全てのプロセスが揃っており他に類がありません。マッチ箱程度のサイズに描かれたアイデア・スケッチとなった鉛筆画。そして光源と陰影を確かめる為のマーカー画。イラストレーションに拡大するための破れかけた2枚のトレーシングペーパーからなる鉛筆によるトレース画。そしてファイナル・レンダリングとのセットです。ステップ・バイ・ステップと呼ばれる氏の技法で、PROGRESSIONSの「Sholder Of Orion」と同様、全ステップを一連の流れで見られる大変珍しい展示になるはずです。ほか、フォード退職後から間もない65年リリースのセラニーズ社カタログ用に描かれた初期の作品2点はマーカーが未だ発売される以前のため、黒いボードに色鉛筆とポスターカラーで生き生きと描かれています。準備稿の「Small Space Colony Under Construction」はマーカーですが、カラーで描かれている珍しいエネルギッシュな作品。展示では別パートにはなると思われますが、映画『2010年』のスケッチ群は、特撮監督リチャード・エドランドのかつての特撮工房「BOSS FILM」のモデルメーカーたち用に原画から複写された印画紙を含みます。アーカイブを整理された時に「コピーは要らない、オリジナル(原画)だけでいい」と捨てられていたのを、許可を得てサルベージしてきた『ヤマト2520』のスケッチの複写も今回の展示のために提供しています。

― 松井博司/本展キュレーター

BIOGRAPHY – Syd Mead
シド・ミードについて

シド・ミード/ビジュアル・フューチャリスト

1933年7月18日、アメリカ合衆国ミネソタ州生まれ。フォードのカーデザイナーとしてキャリアを出発させるが、1970年に独立。未来志向でリアルなビジョンの数々は、彼を瞬く間に世界的なインダストリアルデザイナーへと押し上げる。その活躍はプロダクトデザインの領域に留まらず、1979年から始めた映画美術の仕事でも優れた成果を上げた。『スタートレック』(79)『トロン』(82)『ブレードランナー』(82)『2010』(84)『エイリアン2』(85)など、いまや誰もが知るSF映画の名作を手がけるレジェンド的存在である。近年も『ブレードランナー2049』(17)への参加が話題を呼ぶ。

OUTLINE
開催概要

名 称 シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019
会 期 2019年4月27日(土)ー2019年5月19日(日)6月2日(日)*
会 場 アーツ千代田 3331/1Fメインギャラリー
〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分
JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分
URL:https://www.3331.jp
時 間 11:00~20:00 (最終入場は閉館の30分前まで)
会期中無休(館内施設は火曜定休)
*グッズ販売は5月28日までとなります
料 金 一般2,000円、学生(大学生・専門学校生以下)1,000円、小学生以下 無料
障害者手帳お持ちの方および付添者1名無料
クレジット [企画]株式会社スカイフォール
[主催]シド・ミード展実行委員会
[特別協賛]JXTGエネルギー株式会社 ソニー株式会社
[協賛]株式会社バンダイナムコアーツ 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
[後援]公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会 (JIDA) 特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構
[協力]サイバーダイン株式会社 株式会社サンライズ 株式会社GKデザイン機構 株式会社創通 株式会社東北新社 株式会社バンダイスピリッツ ボイジャーホールディングス株式会社 ワーナー ブラザース ジャパン合同会社 株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 株式会社WOWOW
[制作協力]株式会社イープラス 株式会社ジーズデイズ 株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント